「初心忘るべからず」という言葉、これは世阿弥の『花鏡(かきょう・はなのかがみ)』より生まれた言葉である。
現在では「初心者の頃の気持ち(向上心とか熱意)を忘れるな」というようなニュアンスで使われる場合が多いが、本来この「初心」とは、「学び始めの頃の失敗した記憶」であるという。
よって、「初心の頃の気持ちでがんばろう!」という表現は実は正しくない。
と、中学校のときの社会科の先生が言っていたのを思い出したので、書いてみた。
さて、桜の咲く季節になると何年か前に付き合っていた子のことを思い出す。
バイト先が一緒でずっと友達だったのに、なぜか急に気になり始めたのがちょうどこの時期。
そして付き合い始めたのは4月の初めだった気がする。
その頃桜がちょうど良い見ごろで、せっかくだから花見に行こうという話になった。
天気も良かったので、自転車の荷台にカノジョのっけて出かけた。
付き合い始めでドキドキしていたからなのか、それとも桜のもつ不思議な力なのか。
桜の木のしたを通りながら、
「この子を絶対に悲しませたくないなぁ」と、ふと思った。
それからしばらく時がたち、
いつの頃からか、その子をなぁなぁに扱うようになってしまっていた。
・・・その子とは一年目をむかえる直前に別れてしまった。
あれから何年か経った今でも、桜をみるたびに「悲しませたくない」とおもった事を思い出す。
そして、いつの間にかその心を忘れてしまっていた自分が不甲斐なく思うのだ。
「初心」を忘れないようにするには、いったいどうすればいいのだろうか。